転職して新しい職場に慣れてきたころ、ふとこんなことを思いませんか?
「あれ、前の会社って意外とよかった…?」
いやいやいや、転職したのって、つらかったからでしょう?理不尽な上司、終わらない残業、意味不明な朝礼スピーチ。「もう二度と戻りたくない!」と涙目で退職届を提出したはず。それなのに今、社食の唐揚げがパサついてるだけで、なぜか前職の唐揚げのジューシーさが恋しい…。
「前の会社病」にご注意!
この現象、私は勝手に「前の会社病」と呼んでいます。転職後しばらくすると、なぜか前職のよかったところばかりが脳内美化されてしまうあの感じです。
もちろん前の会社にも良いところはあったでしょう。でも、なぜ今になってそれが浮かび上がってくるのでしょうか?
それは、「比較する相手」が新たにできたからです。
今の会社の会議がやたら長く感じると、「あの頃の打ち合わせはテンポよかったな」となる。今の上司がドライだと、「前の上司、感情は面倒だったけど熱意はあったな」と思う。
記憶は「今」とセットで思い出されます。つまり、今の環境にちょっとした不満があると、脳が「過去の良かった部分」をサーチしに行くのです。
それ、本当に「戻りたい」ってこと?
ここで一度、冷静に問いかけてみましょう。
「それ、本当に“戻りたい”ってこと?」
答えは、たぶんNO。
なぜなら「あの頃の自分」にも、悩みは山ほどあったはずだから。
人は、過去の自分に今の視点でフィルターをかけがちです。「あの頃は良かった」と感じるのは、「今の悩みから一時的に逃げたい」だけなのかもしれません。
懐かしさは前進のエネルギーにできる
大事なのは、「比較して終わる」のではなく、「比較して気づく」こと。
前職の良かったところを思い出すことで、今の職場で自分がどう動けば快適になるのかが見えてくることもあります。
たとえば:
- 「前の会社は風通しがよかった」→ 今の職場でも小さな声かけを意識してみる
- 「前は仕事を任せてもらえていた」→ 今の上司に積極的に提案してみる
転職は「過去を切り捨てること」じゃなく、「過去を活かすこと」。
結論:思い出すのは悪いことじゃない
「前の会社を思い出してしまう自分」を責める必要はありません。むしろそれは、あなたが真剣に働いてきた証拠。そして今の仕事にも本気で向き合っているからこそ出てくる感情です。
前職が「過去の風景」なら、今は「現在進行形のドラマ」。
どちらも、あなたのキャリアという物語を形作る大切なピースです。